世界が終わる時の景色
「…使用人なんていないわよね。
ていう事は、日向が作ってくれるの?」
「もちろん。知ってるでしょ?料理は得意なんだよ」
「ふふっ、そうね。私好きよ。日向の作るご飯」
「得意料理はグラタンなんだ。
中学生の頃にね、チーズとホワイトソースの黄金比率を計算してさ」
「なあにそれ、初耳だわ!」
屋敷や学校でも滅多にしない、
他愛もない雑談。
"幼なじみ"や、"執事と令嬢"という壁をすべて無くし、
普通の"恋人"として話せる、今この瞬間。
すべてを捨ててきたから、過ごせる時間。