世界が終わる時の景色
「あぁ、もう帰っていいわ。荷物は部屋に運んでおいてくれる?
篠山の服もね。迎えが欲しければ連絡するわ」
店から出た彼女は今までの荷物をすべて車に託し、帰した。
「さて、デートしましょう、日向」
「…志乃お嬢様、今日はわがままが過ぎますよ」
「聞こえなかったかしら?私は"日向"って言ったのよ。
私に仕える執事の"篠山"じゃないの」
「……」
「いいじゃない、どうせもうすぐ結婚しなきゃいけないんだもの」
不満そうに尖らせた唇から漏れた、
寂しそうな言葉。
日向にはそれが、弱音のようにも聞こえて。
「…たまには、恋人みたいな事するのもいいかもね。
行こう、志乃。手貸して」