涙のあとの笑顔
「どうして・・・・・・」

 魔獣を倒したのは目の前にいるニールさん本人だった。他の魔獣達も一瞬で倒してしまった。

「ニールさん?」

 すぐに状況を呑み込むことができなかった。それは敵である村人達も同じだった。

「おい!何をしているんだよ!?」
「倒しています」
「ふざけるな!何を考えていやがる?」

 私達の前に立ち塞がり、淡々と話した。

「この子達に本気で危害を加えると思っていたのですか?愚かですね」
「なっ!裏切るつもりかよ!?」
「仲間になったつもりはありません。それにあなた方が話したことと違うと判断しましたので・・・・・・」

 話していたこと?彼らと何を話したの?

「フローラ、その子を連れて行きなさい」
「でも・・・・・・」
「ここは任せなさい。さあ!」

 頭を下げてから、他の場所へ急いだ。

「フローラお姉ちゃん、あの人・・・・・・」
「よくわからないけど、後で聞くことにする」

 別の場所へ行くと、魔獣達がたくさんいた。本当はステラを安全なところへ連れて行きたかったが、そう上手くはいかなかった。

「ひどい!」

 ステラの声に反応し、こっちに近寄って来た。魔獣の周りには倒れた人達が何人もいた。
 剣をしっかりと握り締め、敵に向かった。攻撃を連続でするが、なかなか倒れない。汗が滲み出てきて、視界がぼやける。手で汗を拭い取り、再び攻撃をするが、かわされた。別の敵の攻撃をくらい、壁まで飛ばされた。背中の痛みを堪えながら、ステラのもとまで行こうとしたとき、魔獣の牙がステラを噛みちぎろうとしていた。

「ステラ!!」

 だめ!間に合わない!
 そう思ったとき、剣が魔獣からステラを守った。その剣の持ち主は意外な人物だった。

「ケヴィンお兄ちゃん!」

 ここにいないはずなのに、騒ぎを聞きつけて来たの?

「随分派手に暴れてくれたね」

 独り言のように呟き、魔獣達に攻撃をした。魔獣に背後から攻撃されそうになったので、背中合わせの状態で剣を振るった。

「他の場所は騎士達が相手をしている」

 時間をかけてようやく魔獣達を倒すことに成功した。

「フローラ、あとで治療を・・・・・・」
「ケヴィン?」

 ケヴィンの体重がかかって、ふらつきそうになった。
 次の瞬間、ステラが悲鳴を上げて、ケヴィンを見ると、あちこち傷だらけになっている。
 すぐに白魔法をかけ、名前を呼ぶが、起きる気配がなかった。血だらけの彼をそっと抱いて泣き崩れた。
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