涙のあとの笑顔
「大切に使うね」
「気に入ってもらえて良かったわ」

 ティーカップを箱に戻して蓋を閉めた。

「ケヴィンと夜に会うのよね?」
「そう、夜に待ち合わせをしているの」
「意外だったわ。いつも朝や仕事から帰ってきたときはフローラのもとへ飛びつくのに・・・・・・」

 疲れた顔で部屋に入る彼が私を見た途端に元気になって、抱きしめることはすでにわかりきっていて、習慣だと感じている。

「好きな女の子をの誕生日を祝えるから、本当に上機嫌だったわ」

 怪我をしていたときのケヴィンも治ってからのケヴィンもずっと私と一緒に行動をするようになった。今ではほぼ毎日添い寝をするようにもなった。
 そして甘えっぷりが半端なく強くなった。目を合わせると、スキンシップをしてくる。

「この間はフローラをメイドにしているのかと思ったわ」

 それはケヴィンがまだ怪我をしていたとき、怪我が痛くて思うように動けないと世話をするように頼まれた。

「どこが痛む?こっち?」
「そこ、優しく撫でて」

 言われた通りにすると、ケヴィンの身剣の皺がなくなっていった。
 食事のときは食べさせてくれと言わんばかりに口を開けて、食べる準備をしている。

「美味しい?」
「うーん、まあまあかな」
「ちゃんと完治したら、好きなものを食べられるからね」
「うん。フローラ、もう一口」

 バンッと大きな音が鳴り、思わず肩を震わせた。
 イーディ、お願いだから静かに入って。

「ちょっといつまでやらせるのよ!自分で食べられるでしょ!」
「騒がしい人が来た」

 私の腕を取って、自分に引き寄せるので、器を落としかけた。中身は冷めているから零しても火傷することはない。

「危ないよ!」
「そんなに力を入れていなかったよ?」

 そうだとしても、せめて置いてからにしてよ。

「フローラ、汗を掻いたから着替えさせて」

 着替えさせようとしたとき、イーディに横取りされ、ケヴィンへ投げつけた。

「イーディ、駄目だよ!」
「腕はもう動かせるでしょ?」

 服を投げられ、ケヴィンはちょっと驚きの表情を見せていた。

「ちょっと荒っぽくない?彼女だから頼んでいるのに・・・・・・」
「あまり調子に乗らないことね」

 私はイーディを宥めることにした。

「何も変なことをされていないよ?大丈夫だから」
「そんなにつらいなら、私がやってあげるわ。ほら!」

 ケヴィンの服に触れようとしたが、すぐに避けた。

「イーディは乱暴だから断る」

 そのあとはひたすらイーディが言いたい放題に何かを言っていた。

「良かったの?ケヴィンを選んで」
「イーディは反対?」
「いいえ、ちょっと心配になっただけ」
「私が悩み続けて出した答えだよ。後悔していない」
「フローラ、ケヴィンをよろしくね。どうしようもないところはいくつもあるけど、幸せになってくれなくちゃ!」
「うん。ケヴィンと喧嘩とかしちゃったときは相談してもいい?」
「喜んで乗るわ」

 ケヴィンと約束の時間まであと五十分。
 ちょっと早めに行こうとすると、イーディに止められ、いつもと違う大人っぽい服に着替えるように勧められた。

「行ってきます!」
「行ってらっしゃい!」
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