涙のあとの笑顔
「いろいろある・・・・・・」

 お茶にも種類がたくさんあるからいい勉強になる。
 紅茶とお菓子の相性が大切なのね。
 まだ誰かに淹れたことがなかった。

「美味しいものを淹れてあげたいな」

 頭に思い浮かんだのはケヴィンだった。何かをしていてもふと考えることはよくある。
 今何しているのかなとか、無事に帰ってきてくれるかなとか、今日も私に会いに来てくれるのかななど、たくさん考える。
 あと少ししたらケヴィンが部屋に来る時間になる。それまで他の本も読んでおこう。
 部屋に戻ったときにはドアを開けようとしているケヴィンがいた。

「ケヴィン!」
「ただいま、フローラ」

 部屋の中に入ると、きつく抱きしめられた。私もそっと背中に腕を回した。

「珍しいね?そういうことをしてくれるなんて」
「驚いた?」
「うん、それに大歓迎」

 頬や髪、首や手など、あちこちにキスをされた。こ、腰が砕けそうになってしまう。 ケヴィンが支えてくれているからいいけど、そうでなかったらそのまま座ってしまう。

「たまにはフローラからキスしてほしいな。駄目?」

 上目遣いでそう強請られた。
 おそらく私がこれに弱いと知っていて、わざとやっているのだろうな。

「女の子からしちゃ駄目なの」

 もちろんここは拒否をするところ。
 けれどそれで何もしない彼ではなかった。

「そっか、だったらこうしようか」
「どうする気?」
「イーディ!?」

 ドアの前に腰に手をあてたイーディがいた。
 いつから部屋の中にいたんだろう?

「危なかったわ」
「もう少しゆっくり来てくれてよかったんだよ?」
「時間は守らないといけないでしょ?」
「怒らないのに」
「いつまでそうやってフローラにしがみついているの?」
「抱きしめているが正しいよ。今日はほんの少しだけフローラも積極的になってくれたから気分がいい」
「そろそろ離してほしいな」
「今日はここまでか」

 もう一度髪にキスをしてから素直に離してくれた。

「ケヴィン、今日はイーディ達とお茶会をしたの」
「初めてのお茶会はどうだった?」
「とても楽しかった。紅茶もお菓子も美味しかったよ!周りの人達もとても優しかった」
「カレンにケーキをもらったの。また食べたいな」

 きっと忘れられない味ね。
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