涙のあとの笑顔
 どうしよう、ちょっとわくわくしてきた。

「私はパーティの準備で参加は少し遅れるけど、終わればすぐに行くから」
「手伝うよ」
「気持ちだけ受け取っておくわ」
「フローラにどんなドレスを着せるの?イーディ」
「それを言ったらつまらないじゃない。当日までのお楽しみよ」
「ドレス姿のフローラを見たことがないから、今から楽しみだよ」

 ケヴィンはにこっと笑いかけてきた。

「そのパーティはいつなの?」
「十日後よ」
「本当にもうすぐだね」
「フローラの知人も参加するから、リラックスしていればいいわ」

 イーディ、緊張していることに気づいていたのね。

「今回はフローラもいるから、前より楽しくなるわね!」

 そしてパーティの当日、イーディにドレス姿を見せた。
 ピンクでリボンがついていて、オーガンジーが裾から見えるようになっている。

「似合っている!淡いピンクにして良かった!派手なものだと印象を悪くしてしまうものね」

 ドレスを選ぶとき、露出が少ないものがいいと頼んだ。傷跡が隠れたので、不安を取り除かれた。

「靴のサイズもいい?」
「うん、ぴったり」

 靴は少しだけ踵が高いが、足を痛める心配はなさそう。

「じゃあ、大ホールまで行きましょう」

 イーディと一緒に大ホールまで行き、イーディだけそのまま中へ入って行った。
 パーティの準備もあるのに、ドレスや靴の確認をしてくれた。
 十五分後、中に入ることができた。夜とは思えないほど、ホール内はシャンデリアが輝いていて明るく、想像以上の人数で賑やかだった。テーブルの上にはたくさんの料理が置かれている。

「フローラお姉ちゃん!」
「ステラ!可愛い!」

 ライムグリーンで胸元にフリルがついているドレス。

「ありがとう!友達と一緒に来たの!」
「そうなの?」
「うん!あ、友達が呼んでいるから行くね!」
「またね」

 あっという間に行っちゃった。もう少し話したかったな。
 飲み物を配っていたので、飲んで気分を落ち着かせていた。

「フローラ」
「ケヴィン!それにノアさんにアンディさん!」
「遅くなってごめんね。さっさと行きたかったけど、邪魔をされて」
「ルアナとクレイグも来ていて、今は踊っているぜ」
「フローラ、似合っているな」
「ありがとうございます、アンディさん」
「こんな場所で不機嫌になるなよ、ケヴィン」
「なっていない」

 ケヴィンが一歩近づいたとき、華やかに着飾った女の子達が一斉にやってきて、ケヴィン達に話しかけた。あんなに近くにいたのに、距離ができて、見えなくなってしまった。
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