甘え下手
「なんで櫻井室長!?」
「え、あの人昔展示会の説明員やってたんだよ。知らなかった?」
「……」
知らないわけないじゃん!
チーフよりもずっと室長情報には詳しいよ!
「だって今は企画室なのに……」
「セミナーでK大の教授の講演会があるんだよ。それ聞きたいから行ってくれるってさ」
「はあ……」
「ヤッタネ、比奈子ちゃん」
「はあ……」
参田さんが今度は口に出して冷やかしてきた。
一応、チーフには聞こえないように顔を寄せて。
「あれ、乗り気じゃないの? もっと喜んだら?」
「……放っておいてください」
私が仏頂面で返すと何故か参田さんはそれ以上絡んでこなかった。
最近、前ほどしつこくなくなったんだよね。どうしてだろう。
それより何より櫻井室長との二人きりの出張。
あの日以来、勝手な勘違いでずっと避けてきただけに、どんな顔して一緒に新幹線に乗れって言うんだろう。
「え、あの人昔展示会の説明員やってたんだよ。知らなかった?」
「……」
知らないわけないじゃん!
チーフよりもずっと室長情報には詳しいよ!
「だって今は企画室なのに……」
「セミナーでK大の教授の講演会があるんだよ。それ聞きたいから行ってくれるってさ」
「はあ……」
「ヤッタネ、比奈子ちゃん」
「はあ……」
参田さんが今度は口に出して冷やかしてきた。
一応、チーフには聞こえないように顔を寄せて。
「あれ、乗り気じゃないの? もっと喜んだら?」
「……放っておいてください」
私が仏頂面で返すと何故か参田さんはそれ以上絡んでこなかった。
最近、前ほどしつこくなくなったんだよね。どうしてだろう。
それより何より櫻井室長との二人きりの出張。
あの日以来、勝手な勘違いでずっと避けてきただけに、どんな顔して一緒に新幹線に乗れって言うんだろう。