甘え下手
「阿比留さんこういう場所で飲むんだー。大人ってカンジ」

「沙綾ちゃん、俺もいるんですけどー」

「はい、参田さんアーン」


沙綾がすかさずピスタチオをつまんで仁に食べさせる。

軽くあしらわれてるのに、嬉しそうに口を開けてやる仁を、俺は偉いと思う。


「沙綾ちゃん、なんで鍋呼んでくんなかったのさー」

「あ、そういえば参田さんいなかったよね。今気づいたし!」

「誰も話題にすら出してなかったよな」

「ひでえ。お前ら、本気でひでえ……」


大げさに落ち込んで見せる仁に、キャッキャと笑う沙綾はご機嫌だ。


「沙綾ちゃんは阿比留狙いってこと? やめときなよ、コイツ鬼畜だよー」

「えー、そんな風に見えなーい。むしろ女ギライって感じ」

「そこにみんな騙されるんだよ、沙綾ちゃん! あ、そういや見た目と違うといえば、櫻井室長もあんな風に見えて結構遊んでるみたいだぜ? 比奈子ちゃん大丈夫かなー」

「は?」


思わず低い声が出て、沙綾と仁がビックリしたようにこっちを見た。
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