甘え下手
「えー、どうせ遊びの女だろ」

「違うよ! 絶対、違う。女の勘!」


仁があしらっても沙綾は納得しない。

べつに隠すことじゃないから、俺は素直に口を開いた。


「女の勘かどうかは知らねえけど、沙綾のが当たりだな」

「えっ、マジで!?」

「兄キの嫁だけどな」

「……なんだよ、期待して損したよ~」

「どんな期待だよ」


俺と仁は笑い合ったけど、沙綾はまだ納得していないのか、大きな瞳でじっと睨むように俺を観察していた。

だけどこれが事実だから、俺には他に説明のしようがない。


「あ~、胃が超痛ぇ。俺やっぱ今日は帰るわ」

「仁さん、おつ!」

「沙綾ちゃん、軽っ。タクシーで俺のこと家まで送ってくんない?」

「男の人について行くとお兄ちゃんに怒られるからやめときますー」


沙綾に軽くあしらわれた仁は胃を押さえながら、案外あっさりと俺と沙綾を残して帰って行った。
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