甘え下手
いざ実家へ
阿比留さんと付き合っているという自覚も自信も持てないままに残りの曜日は過ぎて行った。

秋菜にだけはこっそり相談したけれど、「阿比留さん、いきなり婚約とか言い出したりして!」なんてぶっ飛んだことを言うだけで、何の参考にもならなかった。


やっぱりデートも何もなしに、いきなり両親に紹介ってパターンは一般的じゃないらしい。

さすがデビルさん、やることが常人じゃない。


「なんて感心してる場合じゃないよ~……」


阿比留さんが迎えに来るまでの数時間、何度このクローゼットを開け閉めしたことだろう。


単なるデートだけでも緊張するのに、それがご両親との食事会じゃ緊張の度合いは比じゃない。

どんな服装で行けばいいのかさっぱり分からない。


オシャレ度でいけば沙綾の方が可愛い服をいっぱい持っているけど、ご両親との食事会という場を考えると沙綾の服を借りるのは違う気がする。

結局私は黒いワンピースに橙色のカーディガンを羽織った。


だって昔、雑誌で読んだ気がする。

彼氏のお母さんにウケがいいのはワンピースだって……!
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