甘え下手
「えっ、なに比奈子ちゃん! そういう趣味!?」

「私、用事思い出したんで、今日はちょっと……!」


参田さんをスルーして自分の言いたいことだけ大声で発言する。

向かいの二人がキョトンとして私を見た。


きっと冗談だよね。この人たちのタチの悪い冗談。

さっきの沙綾みたいに本気で怒っても、この人にダメージなんて与えられないんだから。


私はさーちゃんのお姉ちゃんなんだから。

ここは大人の対応で乗り切る……!


「そろそろ失礼しようかなーと思います。この度のご無礼のお詫びはまた改めて……」


いくら包んだらいいか分からないけど、クリーニング代くらいは弁償しようと思う。

同じ会社なんだから、連絡先を聞かなくてもなんとかなるだろう。


また会社でお詫びの菓子折りと一緒に渡そう。


「へえ。後日ならOKなんだ。面白いね、アンタ。心の準備でもしてくんの?」

「いや、女の子には色々準備も必要なんじゃね? 勝負下着とかな!」
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