甘え下手

「なんでそんなこと比奈子が知ってんの？」

「……聞いたからです」

「誰から？」


比奈子が俺を責めていた場面だったはずなのに、いつの間にか強い口調なのは俺の方になっていた。

逆に比奈子は後ろめたいことでもあるのか、口が重くなる。


「比奈子？」

「優子さんから……」

「は？　会ったの？　なんで？」


自分の知らないところで比奈子と優子さんが接触していたことに衝撃を受ける。


比奈子が俺のいない実家に行った？


いや、まさか。

それはありえない。


なんで彼女から急に連絡が途絶えた？


「優子さんとどこで会ったの？」

「……」

「比奈子、あの人に何か言った？」


押し倒した体勢のままで尋問するような口調の俺に委縮したのか、比奈子はギュッと目と口を閉じて頭を振った。