甘え下手
「なんでお姉ちゃんが阿比留さんと飲んでるの?」

「……あぁ」

「私の代わりに謝りに行ったの!?」

「えっと……」


謝りに行くつもりだったのは最初だけで、途中から完全に目的はすり替わってしまっていたと思う。

だから私は答えあぐねてしまった。


「なんで!? 私、自分で謝るって言ったじゃん! 阿比留さんの連絡先聞いてきてくれるだけでよかったのに、なんでお姉ちゃんが謝りに行ってんの!?」

「え……」


突然キレられて動揺してしまった。

沙綾が何にそんなに怒ってるのか、すぐに理解できなかった。


「そ、そんなに心配しなくても、阿比留さん思ったよりいい人だったよ?」


思わず沙綾が私の貞操の心配でもしてるのかと、見当違いのフォローをしてしまった。

だけどそれは沙綾をますます怒らせただけのようだった。


「お姉ちゃんのそういうところが嫌なの! 八方美人で誰にでもヘラヘラして、一人で怒ってた私が余計バカみたいじゃん!」

「……」
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