甘え下手
あまり突っ込んだことは言いたくなかったが、仁が思いのほかしつこいから、彼女が落ち込んでることを匂わせてみた。
なんとなく空気で察してくれと思いながら。それなのに。
「あー、ホントだ。あれって泣いてんの?」
は?
思わぬ仁の言葉に心臓がドクンと鳴った。
泣いてる? なんで?
まさか本当に告ってフラれたのか?
自分が背中を押した罪悪感だろうか、胸がざわざわとし始めた。
眉間にシワを寄せて目を凝らし、道路向こうを歩いている彼女の表情を見る。
道路を隔てているから向こうはこっちに気づいていないが、お互いの距離が最短になって、ようやく百瀬比奈子の表情を確認することができた。
彼女は泣いたりしていなかった。
だけど唇をぎゅっと結んで、今にも泣き出しそうな顔。
憂いを含んで、どこかうつろにも見えるその表情は、俺が今まで見たことがなかった彼女の"オンナ"の顔。
「比奈子ちゃんもあんな顔するんだなー。ちょっと俺、ドキドキしちゃった」
なんとなく空気で察してくれと思いながら。それなのに。
「あー、ホントだ。あれって泣いてんの?」
は?
思わぬ仁の言葉に心臓がドクンと鳴った。
泣いてる? なんで?
まさか本当に告ってフラれたのか?
自分が背中を押した罪悪感だろうか、胸がざわざわとし始めた。
眉間にシワを寄せて目を凝らし、道路向こうを歩いている彼女の表情を見る。
道路を隔てているから向こうはこっちに気づいていないが、お互いの距離が最短になって、ようやく百瀬比奈子の表情を確認することができた。
彼女は泣いたりしていなかった。
だけど唇をぎゅっと結んで、今にも泣き出しそうな顔。
憂いを含んで、どこかうつろにも見えるその表情は、俺が今まで見たことがなかった彼女の"オンナ"の顔。
「比奈子ちゃんもあんな顔するんだなー。ちょっと俺、ドキドキしちゃった」