腐女子な漫画家に溺愛されチュウ!?
『面白そうだが…あの二人を会わせるのか』
兄貴の、呆れた様な笑った様な声からしてどうやら俺と一緒の考えだったようだ。
「そうなんだよ…まず場所とか、サ」
問題が掘り起こせば掘り起こすたんびに出てきやがる。
『レストランとか貸し切ればいいンじゃね??』
いやいやいや。
随分と軽く言っちゃってますけど、全財産2万円の俺がそんな事できるワケないでしょーが。
流れ星レンズの最新刊を長い事我慢してほたるとのデートのためにとっている金だぞ!!
「あのな、そんな軽く貸し切りなんて郷ひろみじゃねーンだ、できるワケ………そうだ!!!」
俺は勢いのあまり携帯電話を閉めて会話を強制的に切る。
そうだそうだそうだそうだ!!!!
ほたるが居たじゃねーか!!!
ほたる金持ちだから貸し切る…いや、場所を借りるぐらいできンだろ!!
「ほたる!!」
俺は、ほたるの座っている席に急いで行き、机を勢いよく叩く。
いきなりの事に少しびっくりしているほたる。
「あのサ、何かレストラン的な場所、貸してくれねぇか??」
そう言うと、ほたるはすこし唸っている。
「いいけど…本当にただのレストランでいいのか??」
いいのか…って、え??
どういうことだ??
レストラン貸し切りなンて、人生に一度できるかできないかなんだぞ。
それ以外に何か不満などあるのか。
「だってサ、ただのこ洒落たレストランより思い出深いとこにレストラン作ったほうがいいだろ??」
大きな瞳が、俺を捕らえた。
…確かに。
もはや借りるんじゃなくなって建設になってるけどな。
でもやっぱりそういう方が感動してくれっかな。
俺は、そうだなって言ってから優しく笑った。
すると山口がひょこりと現れた。
「何の話してるッスか??」
「サプライズでさ、親父とおふくろにヨリを「超おもしろそうッス!!俺も手伝わせてほしいッス!!!」
俺が全部言い切る前に、何を理解したかは分からないが山口が楽しそうにそう言った。
まぁ絶対サプライズの響きがよかっただけだろ。
「お、おぅ…」
いつもと少し違う山口の妙な気迫と暑苦しさに、俺はヒきながらも承諾した。
…ちょっとだけ、嬉しかった。
ちょっとだけだけど。