腐女子な漫画家に溺愛されチュウ!?
「おじいさんとおばあさんはね、すっごく優しくて、よく人生とか恋の相談のってもらっていたの」
そう話すおふくろは、とても楽しそうだった。
今からでもその二人に会いたいのだろうか。
「プロポーズの時も、レストランを貸し切りにしてくれて。」
ニコニコといつも笑っているおふくろだが、今日は少し違う。
優しさがこもっていて。
笑うと少しシワが目立つけれど、そのシワがまた人間味と優しさがにじみでている。
「それとね、あの人ったらね…」
まるで今日学校であった出来事を話す少女のようだった。
女は恋をすると若くなるって聞いたが。
本当に、綺麗に見えた。
おふくろが話そうとした、その時。
沸かしていたみそ汁が、泡をふいてこぼれだした。
おふくろは慌てて火を消して、こぼれた所をふく。
ふきんを洗って絞った後、おふくろはまたこっちを向いて。
「…久しぶりに思い出したわ。もうご飯できるから、まってなさい」
何を言おうとしたのか気になったが、待つ事にした。
居間にはテレビがつけっぱなしで、夕方のニュースが流れていた。
アナウンサーの騒がしい声と姿をぼうっと見ていると。
「…あら、結構大きい地震なのね」
茶碗の上に盛られたご飯を運び、ニュースを見ながら置いた。
俺は適当な返事をしておく。
とんぼ公園の…奥の、丘…。
だいぶ場所が指定できてきたかも。
その後、これといった話題もなく。
普通に、夜を過ごした。