ルピナス
「えぇ、はい。何でしょうかね?」
事務的に応えながら、弓月はレンガが纏っている、五彩に輝く花に水を掛けようとする。
素っ気無い弓月の対応をよそに、真澄は目を輝かせた。
「え、聞いてくれる?」
驚いたような真澄の語気に、弓月は嫌な予感を覚える。
「え?
…私は…まぁ、
聞くだけならどうとでも…。」
言葉を選びながら途切れ途切れに弓月は答える。
「うん、じゃあ遠慮なく頼もうかね!」
意気を込めたように、真澄は自分の膝を叩いた。
その際、真澄の左手に握っていた、筆の油絵具が彼のジーンズに付いた所を、弓月は見逃しなかった。
「…ちょっと、絵具付いてますよ、ズボンに。
何で筆持ってるのに膝を叩くんですか…。」
弓月は呆れながらも、スカートに付いているポケットから無地のハンカチを取り出そうとする。