撮りとめた愛の色


「そうだね、ならその時にでも花火をするかい?」

「は?それってつまり花火見た後にやんの?」

「おや。見るのとやるのでは大きく異なるさ。だから汰人、買い出しは頼んだよ」


当たり前とでも言うように、にっこりと微笑んだ彼に汰人はひくりと頬を引きつらせた。


「…いや、いつもいつもなんで俺なんだよ」

「そう言いつつも毎回しっかり買ってきてくれるところが素直じゃあないね」

「………、…ったく…。」


汰人は力尽きたように項垂れる。こういう流れになるといつも彼の方が上手で汰人はよく押し負けていた。なんだかんだ面倒見が良い汰人は断れない、というのが正しいのかもしれないけれど。


「楽しみにしているよ」

「だからなんで発案者が受け身なんだよ…。可笑しいだろ」

「それもそうか。じゃあ私は場所の提供者ということでいいかい?」

「……もうなにも言わねぇ」


これも本人は真面目に言っているのだ。汰人にはまぁ冗談もほんのすこし混じっている気はするがやはり質が悪いと思う。

再び彼の思い付きによって予想外に増えた予定に密かに心躍らせながら、緩んだ頬を隠すようにグラスに口をつけた私はそんなふたりのやりとりをじっと聞いていた。


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