―彼氏と彼女―




「ぶっ!

 そ、そんな事言わずにー。
 ね、お姉さん!ちょっとでいいから!」

「いえ、本当に急いでるので」

「またまたぁ! ねぇ、ちょっとだけ!ね?」

「しつこいです。警察呼びますよ?」

「いやぁ、そんな事言わずにさ。ちょっとお茶するだけだから!

 変なことしないから!」



 何回かのやりとりの後、堪えきれずに笑ってしまった私の負けが決定した。



 まだ笑いが収まらない私に、小林君は横に並んで、


「なぁ、何の用なん?」


 ごく自然に聞いてきた。




 私はその質問に答えていいものか考えてしまった。


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