―彼氏と彼女―




 恥ずかしさで顔を真っ赤にして怒る私を更に笑い飛ばし、挙げ句の果てに、


「ぎ、ぎこちなさすぎんだよ!

 もっとフランクにいけ!」


 吹き出しながらダメ出しまでしてきた。


 恥ずかしさで一杯の私は、そのまま足早に校舎を出た。……が、その後ろから彼が慌ててついて来る。


 それに気づいていたけど、時間も限られてる中で目的があった私は、敢えて声をかけず、駅までの道をいつもの倍のスピードで歩いた。

 けど、後ろから着いてくる小林君には大したこと無いみたいで、余裕そうに歩いてるのが足音で分かった。




「なぁ、このあとなんか用ある?

 無かったらちょっと遊ばない?」



 まだ体験したこと無いけど、ナンパとはこんな感じなのかな。



「いえ、急いでるので」


 体よく断ると、小林君はまた吹き出す。


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