初恋の宝箱

階段を駆け上がりながらスカートのポケットからゴムを取り出し、ボサボサの寝癖ヘアをしっかり後ろで結ぶ

そして息を切らして辿り着いた教室の前で息を整えるために足を止めた

教室の中からは連絡事項を伝える教師の声

新学期早々最悪、と思いながら桃子は意を決して教室の扉を開けた

桃子が扉を開けるのと同じタイミングで教師を含め教室の中にいる全員が桃子のほうを見た

『あれ、なんか違う?』

教師は担任ではなく、生徒は顔見知りが一人もいない

『まさか教室間違えた?』

「佐倉、お前何年だ?」

呆然としている桃子にこの1年4組の担任である尾崎が呆れた顔で尋ねた

尾崎は現代文の担当で桃子とは面識がある

「あーーーー!」

桃子の絶叫が廊下に響き渡る

そう、桃子は新学期早々に遅刻の上教室を間違えて1年生の教室に間違えて入ってしまったのだ

桃子の絶叫と共にポカーンとしていた新入生たちが一斉に笑い出す

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