初恋の宝箱

桃子が出したのは赤色のネクタイ

1年生の学年色だ

「お前って本当に面倒がかかるというか....なんつうか。購買で借りてきてやるから顔洗ってトイレの前で待ってろ」

教室出て柳瀬が向かったのは校内にある購買部

制定品はもちろん、おにぎりやパンなども売っている校内のコンビニだ

「あら、柳瀬先生」

店主の松崎 俊子(まつざき としこ)が柳瀬を見るなり目を輝かせた

65歳のおばちゃんパワー丸出しの俊子は
生徒にとってはおばあちゃん的存在で親しまれている

「あ、どうも」

その65歳とは思えない勢いに圧倒され柳瀬は控えめに挨拶した

「あのう、高2の学年カラーのネクタイ少し貸して頂けないでしょうか?」

「もしかして、桃子ちゃん?」

「まあ」
< 5 / 19 >

この作品をシェア

pagetop