初恋の宝箱
そんなさつきに桃子は後ろを振り向いて応えた
「じゃあ、そういうことで9:00から始業式だから講堂へ移動!以上」
という柳瀬の声で教室にいた30人がドロドロと立ち上がる
便乗して桃子も立ち上がった時
「佐倉は残れ」と柳瀬の声
一緒に移動しようとしていたさつきにごめん、と謝り桃子はその場に留まった
「新学期早々にお前って奴は」
柳瀬の説教タイムスタート
柳瀬の表情は怒っているというより、どちらかというと呆れている
「ごめんなさい」
「ネクタイは?」
Yシャツの首元に学校指定のネクタイがつけられていないことに気付いた柳瀬が指摘した
「あっ、鞄の中に」
そう言って机の横のフックにかけていた鞄からネクタイを出した桃子はギョッとした顔をした
「お前これ...」
柳瀬も同じくギョっとした顔をした
桃子が通う聖立学院(せいりつがくいん)では1年生は赤色、2年生は青色、3年生は緑色とネクタイの色が学年ごとに決まっている