初恋の宝箱

相沢はそれなりの爽やかイケメンで勉強も出来、リーダーシップもあるタイプ

晴香は黒縁メガネがトレードマークのいかにもな学級委員だ

「ちょっと佐倉が体調悪いみたいだから保健室に連れて行ってくる」

「佐倉がですか!?大丈夫なんですか!?」

血相を変えたのは相沢だった

普段はそんなに取り乱したりしない相沢が...きっとこいつは佐倉のことが気になるのだろうと柳瀬は思った

晴香は相沢とは正反対の表情で聞いている

「多分、朝飯食ってないことによる貧血だろ」

柳瀬は本当のことを言わなかった

「そうですか」

「式が終わるまでには戻るから」

「はい」

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「せっかく購買まで走ってやったのに」

誰もいない教室で下を向いている桃子に柳瀬は陽気な声をかけた

そっと顔をあげる桃子

どうやら、泣きやんだようだ

しかし目は真っ赤に腫れている

「どうしたんだよ?」

教卓にもたれかかり、優しい声で柳瀬が尋ねた
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