虜―ポチ 2― 【TABOO】
「だーめ。授業料がもったいないよ」
 じゃあね、と、振ろうとした手をがしりと掴まれて、そのまま部室に連れ込まれる。
「嫌だ。先輩と一緒に過ごせる時間を折角見つけたのにダメになる方がよっぽどもったいない」
 まるで拗ねた子供だ。私はオーバー気味に肩を竦める。
「どっちみち一緒に過ごせないよ。私、今からデートだもん」
 過去、ポチのペースに巻き込まれて数回身体を重ねてしまったことがある私は、いつも年下くんに振り回される簡単な女だなんて思われたくなくて、嘘を吐く。ポチはとても悲しそうに眼を伏せて、それから小さな声で囁いた。
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