【番外編】惑溺 SS集
「リョウ……?」
見るとそこには、淡い光を反射する華奢でシンプルな指輪。
まるで私のために作られたみたいに、薬指にぴったりとはまっていた。
「俺が余計な嫉妬をしなくてすむように、いつもそれ付けてろ」
そう素っ気なく言ってリョウは私の手を離した。
「俺のものだっていう、印」
指輪のはまった自分の手を目の前で掲げながら、何度も瞬きをした。
リョウからの突然のプレゼントに、どきんどきんとうるさいくらい、心臓が拍動を繰り返す。
「………何か言えよ」
いつまでも目をまるくしたまましゃべらない私に、リョウが呆れたように小さく笑った。