【番外編】惑溺 SS集
「あのっ、できれば、ソファーにでも座って待っててほしいんだけど」
キッチンでお鍋に火をかけているのに、こんな風に密着されるなんて落ち着かないんだけど。
なんとか平静を装うように、おたまで必要以上にお鍋の中をぐるぐるとかき回しながらそう言うと、
「んー、いやだ」
リョウは私の頭のてっぺんに頬ずりするようにして、小さく首を横に振る。
リョウがそんな甘えた仕草をするなんて!あの、リョウが!!
どう考えてもリョウらしくない。
そうか、きっとリョウはまた私をからかって面白がってるんだ。そうに違いない。
そう思いながら、私はきゅっと口元を引き締め、こほんと咳払いをした。