【番外編】惑溺 SS集
「危ないから、邪魔しないで!」
「邪魔?」
「邪魔!」
そうキツイ口調で突き放すと、リョウは私の前で組んだ腕にぎゅっと力を込めた。
私の顔を後ろからのぞきこむようにして、耳元でささやく。
「離れたくない」
低く艶のある声が吐息と一緒に鼓膜を震わせた途端、心臓がきゅーっと音を立てて縮んだ。
思わず持っていたお玉を落としそうになる。
明日の天気予報はなんだっけ。
きっと大雪か、いや槍でも降るに違いない。
リョウがこんな甘えた事を言うなんて。
全身、動揺と緊張でガッチガチに固まりながら、抱きしめられたの腕の中でなんとか体を捻り背後にいるリョウを見上げる。