【番外編】惑溺 SS集
一瞬その言葉の意味がわからなくて、私の隣にあるリョウの顔を見る。
すると、リョウは私の肩に置いた顔を傾けて、覗き込むようにして私の事を上目使いでみつめた。
なに、その上目使い。
ずるい。
いつもなら絶対しないリョウのそんな仕草に、心臓が形がかわるくらいきゅっと締め付けられる。
「あ……、左手にしないのかって、事?」
彼が何を言いたいのかようやく理解してそう尋ねると、リョウは私の肩の上に顎を置いたまま不満げに頷く
「……だって、左手の薬指って、結婚指輪とか婚約指輪とかをするのが普通なのかなって思ったから、」
結婚の約束もしていないのに、プロポーズされていないのに、もらった指輪を左手の薬指に付けるなんて図々しいかなと思って、右手にしていたんだけど。