【番外編】惑溺 SS集
「似合わない」
ゆっくりと呟いただけのその声は、なぜか周りを圧倒するほどの魅惑的な響きで
騒がしかった店内を、その一言だけで支配した。
驚いた矢野くんが体を起こし、声の聞こえてきた方を振りかえる。
目の前を覆っていた矢野くんから解放されて、ようやく見えたリョウの表情は
いつもの、微笑み。
綺麗な唇を、わざと歪ませるように口角を上げる
あの、意地悪な
でも最高に魅惑的な表情で私を見下ろして、艶然と微笑んだ。