【番外編】惑溺 SS集
そんな会話をしながら、遠くなっていく声と足音。
二人の気配が完全に消えると、堪えていた息を大きく吐いて、思わず身体から力が抜けた。
胸の中に崩れ落ちて乱れた呼吸を繰り返す私を見て、クスクスと笑う、意地悪なリョウ。
「もう、リョウのバカ、意地悪、嘘つき!
心臓が止まるかと思った……」
思いつく悪態を並べてリョウを睨むと
「俺を挑発するお前が悪い」
綺麗で冷たい瞳に睨み返された。
「私、挑発なんてしてない」
「挑発のつもりじゃなかったんだ?
俺を嫉妬させようとしてたんじゃねぇの?」
私を見るリョウの黒い瞳は、不安になるほど冷たかった。
冷たい視線で私を見下ろしながら、耳元で低く囁く。