宝物〜絆〜
「いや、そうじゃなくて……」

「じゃあ何? 分かってんなら良いでしょ。私はあんたとお喋りする為にここに呼んだんじゃない」

 香奈は私の話などまるで聞く耳を持っていないようだ。

「分かったから、とりあえず聞けや」

 私は威圧するような口調で香奈を制す。

「うっさい。あんた何様? 自分の立場分かってんのかな。まあ良いや。あんたの話なんて聞く気ないし。沙織、仁美!」

 しかし香奈は気にも止めず二人に呼びかけた。

「ほい来た」

 沙織が楽しそうに返事をする横で仁美は俯いたまま黙っている。

「仁美ッ!」

 再度香奈が呼びかけると、仁美はゆっくりと口を開いた。

「ねえ、香奈。もうやめようよ。いつまでこんな事、繰り返すの? もう嫌だよ、私」

「はっ? 仁美、今何て?」

 香奈は驚いたように目を見開いて不機嫌な口調で聞き返した。

「だから、もうやめよって。こんな事して何の意味があるの?」

 仁美は顔を上げて香奈を見据える。

「仁美、あんた……」

 言いながら仁美の元へ歩いていく香奈。

「今さら何言ってんだよ。ふざけんじゃないよ」

 香奈は仁美の目の前まで行くと胸部を勢いよく押した。

 仁美はバランスを崩して尻餅をついて倒れ込む。
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