宝物〜絆〜
「おい香奈! 何してんだよ?」

 私は慌てて仁美の元に駆け寄った。

 何でここで仁美に手え出すんだよ。意味が分かんね。

「あんたには関係な……」

「――仁美! あんた何のつもりだよ?」

 香奈の返事を遮って怒鳴ったのは沙織。

 こいつにとっての友達ってのは何なんだろ。仁美だってこいつの友達だろ? その友達が、別の友達に乱暴されてんのに、第一声がコレかよ。

 要するにこいつは、あくまで香奈の味方って事か。

「お前らの関係って一体何なんだよ。自分の思い通りにならなきゃ力で解決すれば良いのか? それが友達って言えんのか」

 私は沙織の方に向き直って続ける。

「それと沙織だっけか。今の言葉はお前の意思か? それともお前は香奈に従順な犬か? 仁美だってお前の友達じゃねえのかよ」

「ごちゃごちゃうるせえんだよ。お前には関係ねえだろ」

 沙織は怒鳴りながら殴り掛かってきた。

 私は沙織の右拳が迫ってくるのを左手で払いのけて、沙織を怒鳴り付ける。

「ああ、私には関係ねえよ。だからって……」

 言いかけた瞬間、腰の辺りに衝撃が走った。

 振り返ると香奈が私を睨みつけている。どうやら香奈が蹴りを入れてきたらしい。

「調子に乗ってんじゃねえよ」

 そう言って私を見る香奈の瞳は、全く温度が感じられない冷ややかな物だった。
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