宝物〜絆〜
「香奈。やめよってば。沙織も……」

 仁美が起き上がり、ひざまづいた状態で香奈に縋りつく(すがりつく)。

「邪魔しないで!」

 香奈は仁美を振り払おうとしている。

「裏切り者は引っ込んでな。それともあんたからやってほしい?」

 それを沙織が手伝って香奈から引き離した。仁美はその場でへたりこむ。

 自分達と同じ事すんのを強制して、それに従わなければ裏切り者って……。どういう考えだよ。

 突っ込みたいのは山々だけど、仁美を助けんのが先決だ。

「てめえら、仁美から離れろ」

 私が再び仁美に近付こうとすると、沙織が前に出てそれを阻む。

「お前にゃ関係ねえんだから黙ってろよ。何でお前に命令されなきゃいけねえんだよ」

 沙織は私を睨みながら二、三歩近寄ってきた。

 香奈は仁美の前に座り込む。

 その時、私から見て左手前方、神社の裏入口に当たる場所から誰かの声が聞こえてきた。

「香奈、沙織。やめて!」

 仁美の声ではない。でも、つい最近聞いた覚えのある声。

 私は声がした方を向いて主を確認する。

 そこに居たのは、前に仁美が連れてきた女だった。

 走って来たんだろうか。息も絶え絶えに近くの木に手をついて、呼吸を整えている。
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