宝物〜絆〜
 煮えたぎる怒りを抑え切れず口を開こうとした瞬間、一足早く仁美が口を開いた。

「琴音、大丈夫? 私のせいでごめんね……」

 仁美は弱々しく呟いた後、香奈に視線を移して続ける。

「香奈、それに沙織も。こんなの間違ってるよ。気に入らなければ暴力で解決。更にやってる理由がストレス解消? 二人ともおかしいよ」

「お前もごちゃごちゃうるせえんだよ。だいたい自分一人、良い子ぶってんじゃねえっての」

 今度は沙織が、琴音の前にしゃがんでいる仁美の背中を思い切り蹴った。反動で仁美は琴音に覆いかぶさるようにして俯せに倒れ込む。

 もう、本当に今度こそ我慢の限界だ。こいつらマジで許せねえ。

「おめえら、マジでいい加減にしろよ」

 私は香奈と沙織を強引に自分の方に向かせて、一発ずつ平手打ちを入れた。

 加減するような心の余裕なんてない。怒り任せに、思い切りひっぱたいた。

「痛ッ。あんた何すんのよ」

 香奈が頬を摩りながら睨みつけてくる。

「いきなり何すんだよ」

 沙織もキレて怒鳴ってきた。

「痛えだぁ? てめえら、たった今、自分が仁美たちに何したか忘れたのか?」

 私は、被害者面してる二人に対して更に怒りが込み上げてきた。
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