宝物〜絆〜
 そして立川は更にとんでもない事を口走った。

「ついでに言うと、お前らがノーマークのこの子、こいつが一番強えから」

 立川が指を差しているのは私。

 いや、ちょっと待て。さすがにこの場面で言うにはギャグにしてもお粗末すぎる。

 マジで勘弁してくれよ。

「ちょっ……。いや、立川。それ笑えねえよ」

 私は焦って訂正しようとしたけど、何て言えば良いのか分からない。

「ハハハ。まっ、それは良いとして。秀人、こいつら結構強えぞ。一人よく分かんねえのも混じってっけど」

 立川は笑って流し、秀人に話を振る。

 だったら初めから変な話題、振んな! と、言いたかったが飲み込んだ。こんな時まで人をからかいやがって。

「そりゃ仕返しに来てんだから、強えの出てくんのは当たり前だよな」

 秀人は笑って答える。

 こいつら相変わらず余裕だな。

 そうこう話しているうちに、相手も動き出した。

「俺この赤髪とやるから、お前そいつとやれよ」

 スキンヘッドがオールバックに話し掛ける。

 その時、私の前にも男が一人歩いてきた。小柄で顔立ちが整っている男。

「おめえ、人の彼女に随分とナメた真似してくれたらしいじゃねえか」

 男は怒りをあらわに私を睨みつけている。
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