宝物〜絆〜
「おはよう、香奈ちゃん」

 店長が挨拶を返す。続いて、永田さん、秀人、私も順に挨拶を返した。

 いつも通りの笑顔を浮かべる香奈。私は紙切れに書かれた内容を思い出しながら、香奈が豹変した理由を改めて考えた。


 秀人を好きになったから?

 私が秀人と仲が良いから?

 本当にそんな嫉妬心だけで?


 考えれば考える程、分からなくなる。

「香奈ちゃん、今日は早いね。いつも、このくらいの時間に来てくれると助かるんだけど。その分の給料も出るんだから。ところで忘れ物って何だったの?」

 店長が香奈に話し掛けた。

「えっ? 別に、たいした物じゃないですよ。時間は、これからはこの時間に来るようにします」

「ふーん。そっか。まぁ良いんだけどさ。じゃ、そろそろ準備始めようか」

 答えをはぐらかす香奈に、店長は意味ありげな台詞と視線を送って休憩室を後にした。

 皆「はいっ」と返事をして、すぐに店長の後を追う。

 結局私は、この日も考え事ばかりでバイトに身が入らなかった。期待してくれてる店長に申し訳なく思いながら、香奈の事は出来れば今日中にケリをつけようと心に誓った。

 そしてバイト後――。
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