宝物〜絆〜
「秀人。わりぃけど今日寄るとこあるから、先に帰ってて」

 私は秀人に一緒に帰れない事を伝えた。

「何で? どこに行くんだ?」

 “何で”とは予想外の返事。しかも、どこって答えりゃ良いんだよ?

 私は反射的に香奈を見かけて、慌ててやめた。つか、見たらバレるし。

「どこでも良いじゃん。レディにプライベートの事を聞くのは失礼だぞ?」

 とりあえず冗談混じりに言ってごまかしてみる。

「あっそ。分かったよ。勝手にしろ」

 ん? なんだなんだ? 何で、いきなり不機嫌になるんだよ。しかも今、香奈の方をチラッと見たのは気のせいか?

「おい、秀人。なんなんだよ、いきなり?」

「別に。何もねえよ」

 秀人が、ぶっきらぼうに答えると、香奈が口を挟んできた。

「美咲先輩は、今から彼氏とデートなんですよぉ。ねっ、先輩?」

 おいおい。いつから私は彼氏が居る設定になってんだよ? って思ってたら、今度は永田さんが口を挟む。

「香奈ちゃん。何言ってるの? 美咲ちゃんの彼氏は秀人くんでしょ?」

 ヤベッ。このままじゃ、どんどん話がこじれてく。

 どうすっか? 香奈に合わせるべきか否か。

 つか、マジめんどくせえ!

「もう、この話は終了ッ!」

 私は考える事も答える事も放棄して、思わず叫んだ。
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