宝物〜絆〜
 第二駐車場に着くと、香奈は携帯で話をしていて、私の到着になかなか気付かなかった。

 声をかけようとした時、ちょうど香奈がこちらを向く。

「あっ、ターゲットが来たから切るね。すぐに連れてくから、待ってて」

 私を見て笑顔を消した香奈は、電話の相手にそう告げると、通話を終えて私を睨みつける。

 つか、ターゲットって? 連れてくって何処に?

 なんか厄介事の予感がする。

「ついてきて」

 香奈は一言だけ発してスタスタと歩き始めた。

「待てよ香奈。一人で来いってのは、私と二人で話す為じゃなかったのか? 話なら……」

「うるさいっ! 警告、見たんでしょ? あんたと話す事なんて何もない!」

 香奈は前を向いたまま怒鳴る。

 警告ってあの紙切れの事だろ。“今後、秀人に近寄るな。近寄ったらエプロンと同じ運命を辿る”的な感じの奴。

 つまりアレか。私が警告に従わなかったから、ツレ呼んで袋にしようって訳か。

「話す気ねえなら帰るよ? 私は話しにきただけだから。何されるか分かっててノコノコとついてくバカは居ねえだろ」

 私は香奈の背中に声をかけ、帰ろうとした。しかしすぐに香奈が口を開く。

「ソコ。その神社だから」

 香奈は今居る駐車場から斜向かい(はすむかい)、裏路地にヒッソリと存在する神社を指して言う。

 しゃあねえな。とりあえず行くか。
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