BirthControl―女達の戦い―
譲は極秘で捜査を依頼し、娘が無事助かったところで世間に公表するつもりだった。


そして同情票を勝ちとろうとしたのだ。


もしくは力で威嚇し国民に恐怖を植え付けることも考えた。


捜査チームはすぐに誘拐犯のアジトを突き止め、周りを包囲し好機を狙う。


譲もそこに同行し、少し離れたワゴン車の中から様子を窺った。


30人くらいはいるだろうか?


昔、キャンプ場だったらしいその場所には、たくさんのロッジが並び、犯人グループはそこで生活をしているようだった。


娘の遥香の無事を確かめなければ、下手に動くことが出来ないため、捜査チームは一昼夜通して彼女達を張り込んだのである。


緊迫した時間が続く中、譲は遥香が無事でいることを確信していた。


男性がいるならともかく、女性だけの組織で、今の社会からはみ出した者ばかりだ。


テロ組織などとは違い、傷を舐めあい寄せ集められたんだろうメンバーが、まだ22歳の若い娘に危害を加えることは少ないと譲は考えた。


だからこそ、この危険なミッションを承知したのだ。


ワゴン車の窓から、外を覗く。


ライフル銃を装着した特殊急襲部隊SATが、ロッジから出てくる人影に照準を合わせているのが見えた。


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