BirthControl―女達の戦い―
このライフル銃には消音装置もついており、一人ずつ撃ったくらいでは、周りに気付かれることはない。


そう……


譲はあろうことかこのSATに、娘以外の犯人グループ全員を狙撃するよう命じたのだ。


ロッジの外に出てくる者を、音もなく確実にしとめ、娘だけを救出する。


それが譲と警察上層部の決めた作戦であった。


ここにいる女性達は娘を拉致、監禁した凶悪な犯人なのだ。


しかも子供を産むことが出来ない女ばかりが集まっている。


射殺したとしても特に問題はない。


譲は真剣にそう思っていた。


パシュッ……


乾いた鈍い音がしたのに気付き、譲はロッジの方を窺う。


すると一番手前のロッジから出てきたらしい女性が仰向けに倒れていた。


どうやら眉間に命中したらしい。


ここからもわかるくらい額には赤く点のような銃弾痕が、生々しく浮かび上がる。


月夜に照らされてなんとも幻想的だと譲は思った。


射殺されたことへの罪悪感はない。


それよりも早く次々に始末して、娘を無事に助け出したかった。


暗闇から犯人グループとは違う人影を見つける。


どうやらSATの隊員が数名、遺体を回収しに行ったようだ。


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