BirthControl―女達の戦い―
それからしばらくまた息を潜め、新たに出てくる人影を待つ。


急に遥香が心配になり、譲は同じワゴン車に乗り合わせている指揮官にそっと声をかけた。


「娘が間違えて射殺されるなんてことはないだろうな?」


「麻生先生、ご安心を

こちらが調べた結果から、ここに住んでいる者は、全て同じ茶褐色の迷彩服を身に付けています

ただ娘さんはどうやら違うらしい

あそこに見えるロッジよりも一回り大きなロッジが一番奥に見えるでしょう?

あそこから三つ離れたロッジに娘さんがいるらしいという情報を得ています

その情報によると着せられている服は、白の長袖Tシャツにグレーのスウェットだということでした

だから見間違えることもないですし、第一監禁されているわけですから

恐らく主犯格がいると思われる大きいロッジに連れていかれることはあっても、あの部屋からは滅多に出れないでしょう

ご心配には及びません」


そう自信満々に言い張る指揮官に、少しだけ不安を感じながらも、そうは言ってもプロなのだからと自分を納得させて、譲はまた窓の外に視線を移した。


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