BirthControl―女達の戦い―
自分に出来ることはないか考えを巡らせるが、いい答えは出てこない。


足の悪い久枝が助けに行ったところで、遥香の足手まといになるかもしれないのだ。


どのくらい時間が経ったのかわからないくらい、久枝はその場に佇み、遥香の乗ったエレベーターを見つめていた。


朝食の時間はすでに始まり、ほとんどの住人やスタッフは食堂に集まっているはずだ。


そのせいで自分のいる廊下や、立入禁止区域には誰一人通ることなく静寂に包まれている。


遥香もきっとそれを狙ったに違いなかった。


これほどの危険を犯すのだ。


丸山から何かを知らされたのかもしれないという久枝の予想は当たっているのかもしれない。


僅かに音が漏れ聞こえ、エレベーターが降りてきたのがわかった。


開いた扉から慌てたように飛び出してきたのは、紛れもなく遥香だ。


その様子がただ事ではない気がして、久枝は思わず立入禁止区域のドアの前まで歩み寄った。


何層かになっているガラスのドアをなんなくクリアしながら、遥香がこちらに向かってくる。


ふと遥香が顔を上げ、目と目が合った。


「……ぁ」


最後のドアが開いた時、遥香の驚いたような顔が私を見つめていた。



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