BirthControl―女達の戦い―
「でも……はるちゃん……」


そう言ってちらりと遥香の胸元に目をやると、ああこれね?と壊れかけたナース服を摘まんだ。


「一応、護身用にスタンガン持ってたから……

脱がされはしたけど未遂」


それを聞いても、久枝はホッとするよりも先に胸が傷んだ。


「わかってて……?」


ようやくそれだけを口にすると、遥香は首を傾げながら考えるような素振りを見せる。


「見つかるつもりはなかったの

だけど万が一とは思ってたから……」


そう言って目を伏せた遥香は、小さく息を吐いた。


「ねえ?はるちゃん

このばあさんに何があったか話してみる気はないかい?」


そう声をかけると遥香は一瞬ピクッとしてから、俯いたまま大きく左右に頭を振った。


「だけどはるちゃん……

あんたが一人で闘うにはちと荷が重すぎやしないかい?

こんなばあさんでも何かの役に立つかもしれないだろ?」


努めて優しくそう言ってみたけれど、遥香は首を縦に振ることも口を開くこともせず、ただじっと黙ったまま俯いている。


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