BirthControl―女達の戦い―
「丸山先生に何か言われたんかい?」


最後の切り札とも言うべく丸山の名前を出してみると、遥香は僅かに顔を上げた。


「久枝さんを巻き込むわけにはいかない……」


消え入りそうな声で、やっと吐き出した言葉は、久枝に迷惑をかけまいとするものだった。


「もう巻き込まれとる

こんなとこ見ちゃって、はるちゃんのこと……このまま知らん顔なんか出来るわけないだろが?」


「でも死ぬのは!……私だけでいいから……」


掌を握り締めながらそう言った遥香を見て、久枝は絶句した。


「…………死ぬって……

はるちゃん、そんなこと思ってたんかい?」


ようやくそう言葉を紡いで問いかけると、遥香は小さく頷いた。


(それだけの決意だってことか……)


丸山はこんなにも遥香が追い詰められると知っていながら話をしたのだろうか?


大方、この施設の秘密を暴けとかそんなとこだろう。


けれど丸山が直接、遥香にそんな危険なことを強いるはずがない。


自分の娘のように大切に思い、彼女の身をいつも案じていたのだから……


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