BirthControl―女達の戦い―
丸山も同じ気持ちだったようで、一気に車を加速させると、OldHomeの運搬用の出入口に向かう。


何気ないふりをして丸山はゲートの入口に近づくと、名前を告げIDカードを翳した。


特に疑われる様子もなく、ゲートの扉は開かれた。


要は万が一のことを考えて、頭から濃い苔のような色をした厚手の布地カバーを被っていた。


外から見ると大きな荷物を助手席に乗せているように見えなくもない。


なんなくゲートを突破して車を駐車場に停めると、丸山に案内されOldHomeの中に繋がるドアに急ぐ。


誰もいないことを確認しながら、丸山がまたIDカードを翳すと、何の抵抗もなく自動ドアがウィンと音を立てて開いた。


今更ながら、このIDカードがなければ要は駐車場にさえ入ることが出来なかったんだと、丸山に感謝する。


丸山の後について中に入ると、そこは真っ白な空間だった。


リノリウムの臭いがする廊下はずっと先まで続いている。


何の装飾もないその廊下には、他に人の気配はない。


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