BirthControl―女達の戦い―
「ですが、それでは他に誰が?」


やはり夏木も遥香を疑っていたらしい。


「遥香はこの五年間、一歩もあの施設から出たことがないんだぞ?

外部と連絡が取れるわけがないだろ?」


夏木はまだ納得いかない表情だったが、それ以上は何も言わなかった。


「それより青柳には連絡したのか!?」


「はい、先程から何度も携帯に連絡取ってるんですが、応答ありません」


「何やってるんだ、あいつは!」


譲は自分の携帯を取り出し、青柳の番号を検索すると通話ボタンを荒々しく押した。


プルルルル……プルルルル……プルルルル……プルルルル……


やはり出る気配もない。


「夏木!OldHomeに向かうぞ!」


仕方なく譲は自ら現場に出向くことにした。


状況がわからない今、自分の目で確かめるしか術はない。


「ですが、官房長官が今回の件を説明しろとお呼びですが……」


「だから!その説明が出来ないから調べに行くんだろうが!

今の時点で説明できることは何もないからな……」


OldHomeの実態が世間に知られてしまった今、自分の立場は極めて危うい。


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