BirthControl―女達の戦い―
OldHomeの周りはすでにマスコミやテレビ局で一杯になっていた。


昔とは違い、娯楽もそう多くなく、テレビにしても国営放送しか今はない。


マスコミと言っても政治動向を取材したり、上流区域にある数少ない娯楽施設の情報を流す程度だ。


割と迅速に動いたつもりだったが、それでもこれだけの人がOldHomeに関心を持って集まっていることに、自分たちが出遅れたことを認めざるを得ない。


譲と夏木は無言でそれらを掻き分けながら、車をゆっくり進ませていった。


ゲートのモニターでは車の中の人物を確認すると、慌てたように重い扉を開ける。


きっと大臣自らのお出ましに施設内ではパニックに違いない。


夏木が車を駐車すると同時に、ゾロゾロとOldHomeのスタッフが近付いてきた。


車を降りると、揃って譲に向かってお辞儀をする。


堅苦しい挨拶などどうでもよかったが、向こうはそうもいかないのだろう。


「大臣、突然のことでお出迎えも出来ず申し訳ありませんでした

今日はどんなご用向きでしょうか?」


A棟でスタッフを纏めている青柳の部下が恐る恐るそう訊ねてきた。


< 270 / 406 >

この作品をシェア

pagetop