BirthControl―女達の戦い―
運営が苦しいことはわかっていたし、だからこそなんとか処分する年齢を引き下げ、青柳の負担を軽くしようと頑張ったつもりなのに……


法案が可決して、ようやく少しは楽になると思われていた矢先に、いったい何があったというんだろう。


長い廊下を抜けて、広いホールに出た時、向こうからスタッフが慌てたように走り寄ってきた。


「どうした?

青柳さんは見つかったのか?」


前を歩いていたスタッフが、走ってきたスタッフにそう声をかける。


「それが……」


その男は真っ青な顔をして、どう伝えたらいいのかわからないと言うように、譲たちの顔を交互に見た。


「……何かあったのですか?」


夏木が一歩前に出て、その男の肩に手を乗せ、落ち着かせるように優しく訊ねる。


するとようやく男は我に返って、自分の見たことを説明し始めた。


「青柳さんの部屋に行こうとしたんですが、立入禁止区域に点々と血のような後が続いていて……

それを追っていくとちょうど青柳さんの部屋の近くに続いていたんです……

そ、それで……」


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