BirthControl―女達の戦い―
隣を見ると母も同じだったらしい。


ホッとしたのも束の間、それからが大変だった。


救急車に気付いた父が車を横付けにして、すぐにあのカプセルに入っていた女性を運んできた。


全体が濡れていて体を毛布で包まれたその人は、息はしているものの、呼吸は浅く息苦しそうだった。


すぐに酸素マスクをして寝かせると、母は父を置いて救急車を走らせた。


父はまだ事後処理があるらしい。


心配はいらないからと言った父の顔は、ひどく疲れたようなやつれたような、一気に老け込んでしまったかのような表情をしていた。


父と母の判断と処置の早さから、あの女性は命をとりとめた。


顔色も良くなり、一週間もすると食事もとれるようになっていた。


凍傷がひどく足を切断しなくてはならなかったけれど、彼女は文句一つ言うことなく、リハビリに励んだ。


それは父に後から聞かされた、あの日に命を落とした女性の為らしい。


映像に映っていた看護師の女性は、父と久枝を庇って亡くなったのだと聞いた。


だからなんだろうか?


二人は自分の命を大切に、一生懸命生きてるように見える。


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